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ワタナベオイスターセミナー【ストレス・睡眠編より】

◆不安障害・パニックと栄養アプローチ

不安障害やうつ、パニックなどの精神的な病気が、栄養素の不足とも関係していると言われています。

それに関してのセミナー資料として、「最新精神医学2008」に、新宿溝口クリニックの溝口 徹先生が『不安障害・パニックと栄養アプローチ』と題して、執筆されたものが載っていましたので、一部を以下にご紹介致します。

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(1)脳の機能と栄養

≪血液脳関門とアミノ酸≫

脳の機能は、外界の条件に左右されることが無いように多くの防御機構が働いている。毛髪や頭蓋骨による外力からの防御、体血圧と頭蓋内圧との関係などとともに、血液脳関門が存在する。

脳が活発に成長している幼少時には、不用意に、脳に対して不都合な物質を口にする可能性が高い。
また成人においても、残留農薬などに代表される有害物質を摂取する可能性は常に存在する。

これらの脳にとって有害な物質が、直接血液から脳へ送り込まれることは大きな問題である。
また脳内において重要な機能をもつ神経伝達物質の多くは、腸管や末梢神経などにおいても存在し、生理活性を有している。

これらの脳以外で生合成された生理活性物質の影響を脳が受けることも、健全な脳の機能を維持することを妨げる。
例えば、抑制系の神経伝達物質であるGABAが含まれたチョコレートを食べることによって脳内のGABA濃度が上がることはない。

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(2)脳内における神経伝達物質の生合成

通常、細胞内でタンパク質が合成されるのは、DNAが存在する核の周辺である。
神経細胞においても同様に核周辺で合成されたタンパク質を、軸索を通して神経終末まで輸送する軸索輸送というシステムが発達している。

しかし、様々な条件に敏感に反応しなくてはならない神経伝達物質の生合成は、このシステムでは対応が困難である。そのため、神経伝達物質の生合成は、主に神経終末部で行われている。

つまり神経伝達物質の材料となるアミノ酸などは、食物として摂取し、脳血液関門の各種輸送系を通して取り入れた後、主にグリア細胞によって神経終末へ供給されるのである。

神経終末には軸索輸送によって運ばれてきた各種酵素が存在し、グリア細胞によって供給されたアミノ酸と反応し、神経終末部において神経伝達物質が生合成される。

このとき、神経終末に存在する各種酵素には、それぞれ補酵素や補因子が存在する。
この補酵素や補因子の存在がなければ酵素活性は不十分であり、神経伝達物質の生合成の障害となる。

上記のように脳内神経伝達物質のインバランスの補正には、脳血液関門を介したアミノ酸の供給、合成に必要な酵素の存在、酵素活性を左右する補酵素や補因子などが充分に存在することが必要になるのである。


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(3)セロトニンの生合成

グリア細胞よりセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが神経終末部へ取り込まれる。
神経終末部に取り込まれたトリプトファンは、トリプトファン水酸化酵素(TPH)の働きにより、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)に変化する。

この反応は、セロトニン生合成のの律速段階であり、TPHは、テトラヒドロビオプテリンを補酵素とし、Fe2+を補因子として必要とする。

5-HTPは、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素により5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン,5-HT)へ変換される。
その後、シナプス小胞に存在するアミントランスポーターの働きでシナプス小胞内へ取り込まれる。
蓄えられたセロトニンは、カルシウムをセカンドメッセンジャーとして、シナプス間隙へ放出される。

遊離されたセロトニンの多くは、セロトニントランスポーターの作用により、神経終末部に再取り込みされる。
一部のセロトニンは、神経終末部の自己受容体に作用し、セロトニンの放出を抑制する。

カルシウムを介したセロトニンの放出作用は、神経細胞膜の内外のカルシウム濃度差に依存している。
カルシウム摂取不足による副甲状腺ホルモンの分泌亢進は、細胞内外のカルシウムの濃度差を減少させ、正常なセロトニン分泌を障害する原因となる。

このことから、神経伝達物質のシナプス間隙への放出という最終段階におけるカルシウムの重要性が理解できる。


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(4)主要な神経伝達物質の生合成とビタミンB群の重要性

不安障害を始め、多くの精神症状の発現に関与している神経伝達物質についても、その生合成過程に必要な酵素、補酵素、補因子を介した経路が知られている。
(中略)
若年の女性の場には、ヘモグロビンがやや低値であっても問題とすることが少ない。
しかし、神経伝達物質の生合成における律速段階には、鉄が補因子として必要であることが多い。
このような補因子として作用する鉄の過不足は、従来のヘモグロビン、ヘマトクリットを中心とした鉄の評価では知ることができない。

この症例においても、重度の鉄欠乏と判断し、ヘム鉄製剤を中心とした栄養アプローチを行った。
女性の不定愁訴や精神症状の理解において、組織鉄の不足を評価し対応することは極めて重要である。

鉄だけでなく、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルは、神経伝達物質の生合成の過程や、神経伝達物質のシナプス間隙への放出などの過程で重要な機能を有しており、これらミネラルの不足が存在する場合には、積極的な補給が必要になる。

この症例においても、亜鉛を活性中心とするアルカリフォスファターゼ活性が低下していることから、積極的に亜鉛の補給を行い、検査データの改善だけでなく、亜鉛不足に伴う臨床症状の劇的な改善を得た。



◆睡眠物質について

ぐっすりと眠るためには、眠りを導くための『睡眠物質』が脳の中にたっぷりと満たされることが必要であることがわかってきました。この『睡眠物質』が少ない人は、寝つきが悪かったり、寝ている途中で目が覚めてしまったりします。

『睡眠物質』は脳の中で作られます。その原料は、アミノ酸やブドウ糖で、そこに、亜鉛・セレン・銅・ビタミンB12などのミネラルやビタミンが働きかけることによって作られます。

元大阪バイオサイエンス研究所の裏出良博先生が、≪薬の知識2001≫に『睡眠物質』のことについて書いておられたので、その内容から一部抜粋して、ここにご紹介致します。

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「睡眠が覚醒中に蓄積されるホルモン様の物質(睡眠物質)により誘発される」という睡眠の液性調節の概念は20世紀初頭に日本の石森国臣博士とフランスのヘンリー・ピエロン博士により提唱された。

彼らは、それぞれ独自に、長時間断眠させたイヌの脳脊髄液を別のイヌの脳内に投与すると、そのイヌが眠ることを発見し、断眠中に脳内に蓄積する睡眠物質の存在を予言した。

睡眠物質とは自然な睡眠を誘発する内因性の物質であり、非生理的な睡眠や昏睡をひき起こす睡眠薬や麻酔剤とは異なる。現在までに、数十種類い及ぶ睡眠物質が同定されている。それらのなかで、われわれが研究を進めているプロスタグランジンD₂は最も強力であり、その作用機構について、分子レベルでの研究が最も進んだ睡眠物質である。


(この続きは次回です。)

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