不妊症とは? 妊活(不妊)相談 不妊症の意味

不妊症の定義

◆「不妊症」とは

「赤ちゃんは、そのうち自然にできると思って気楽に考えていました。でも、いざ本気で欲しいと思い始めてもなかなか……」

不妊症のご相談に来られる妊活中の方々の中で、このようにおっしゃる方が本当に凄く多いんです。

避妊をせず普通に夫婦生活を営んでいても、妊娠しない状態が「1年以上続いた状態」のことを、医学的には「不妊症」と言います。ですから、妊娠しない原因が何か見つかっていようがいまいが、検査などしなくても、ただそういう状態が1年続いているだけで、単純に「不妊症」という診断になるのです。

なぜこのように決まったかというと、普通、避妊をせずに夫婦生活があれば、1年以内に8割、2年以内に9割のご夫婦が妊娠するという考えをもとに、不妊症の定義が決まったようです。

しかし昔と違って現実には、このデータのように簡単にはいかず、赤ちゃんが欲しいなと思っても、なかなかすぐに思い通りに授からなくなってきています。お若い20代の方でも悩んでご相談に来られます。

妊娠しにくくなっているというのは、いったいどういうところに原因があるのでしょうか?
まずは妊娠の基本的な仕組みを知っていただき、その上で、不妊の原因についてもお伝えしていこうと思います。


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妊娠のための卵子と精子の成り立ち

(1)女性の「卵子のお話」と「排卵の仕組み」

1、原始卵胞とは

女の赤ちゃんは、生まれた時にすでに、一生分の卵子のもとになる細胞を卵巣の中に持っています。
つまり、そこから新たに細胞が作られて増えることはないんです。


その数は、約200万個と言われていますが、しかしこれがずっとこのまま思春期まで温存できるかと思いきや、そうではないんですね。思春期になって初潮が始まる頃には、約40万個に減っているのです。

これを原始卵胞と言います。原始卵胞は、未成熟な卵子(赤ちゃん卵子ですね)が袋の中に入っている状態で、排卵できる年齢までゆっくりと休眠しています。


2、排卵できる主席卵胞とは

生理が始まって数年経つと、身体の準備が整ってきて、排卵が起るようになります。

いくつものホルモンの刺激を受けることによって、今まで休んでいた原始卵胞のうち、1日に30個ずつくらいが、毎日少しずつ成長を始めます。ですから、生理の1周期では約1000個くらいが成長し始めるのです。
でも、これら全部が同じように成熟できるわけではありません。


脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)の作用によって、最終的には1個だけが大きく成熟し、これを首席卵胞と言います。この主席卵胞が、排卵への準備をしていきます。そして、これ以外のものは、出番がなかったということで消えていってしまいます。

3、排卵の仕組み

主席卵胞は徐々に大きくなり、約20mmくらいに成長すると、エストロゲン(卵胞ホルモン)をたくさん分泌するようになり、これの働きにより子宮内膜が厚くなっていきます。
ホルモンが要所要所に働いて、妊娠できる準備を着々と整えていくんですね。


卵胞からのエストロゲンの分泌が増えてくると、これが「卵胞がもう大きく成熟しましたよ~。こっちは準備できましたよ~。」という卵巣からの合図となり、次はその合図を受けた脳下垂体から、LH(黄体化ホルモン)の分泌がグググーーっと増えて(これをLHサージと言います)、「了解しました!ではもう排卵してもOKですよ~!」という指令が出ます。

すると、卵巣の表面近くにポコンと膨らんできていた主席卵胞の中の卵子が、袋を破って、卵巣からポーンと飛び出します。
これが「排卵」です。人間の身体は実にうまいことできてますよね~。



(2)男性の「精子のお話」と「射精までのルート」

1、精子の作られ方

精子は卵子と違って、基本的に毎日、新しく5000万個~1億個作られていると言われています。
女の赤ちゃんと違って、一生分を持って生まれてくるわけではありません。
思春期になり、男性ホルモンの分泌が盛んになると、初めて精子が作られ始めます。

では、精子はどこで作られているのでしょうか?

左右にある陰嚢内に精巣というものがあります。(これは別名、睾丸とも呼ばれています。)
この精巣は、白膜という硬い膜に覆われていて、その中は小葉という200~300の小部屋に分かれています。

さらにその小部屋の中には精細管という曲がりくねった管があり、精子はこの精細管で作られています。

精細管の中で、「精祖細胞⇒精母細胞⇒精子細胞⇒精子」というふうに精子のおおもとの精粗細胞から、どんどん細胞分裂を重ねながら成長していき、精粗細胞から精子ができるまでは約80日間かかると言われています。

精粗細胞が細胞分裂によって増えるので、精子自身はいつも新しいものが生まれています。

2、精子の構造

精子の大きさは約60μm(マイクロメーター)、つまり約0.06ミリです。

精子は、大きく3つの部分に分かれています。頭部中間部分尾っぽです。
よくおたまじゃくしみたいな形と表現されますね。

精子の頭部には大切な「核」があります。その核の中にはDNAが入っています。
女性側の卵子が持つDNAと、男性側の精子が持つDNAが、受精によって合わさり、一人の人間となっていきます。

中間部分には精子の動きを司るエネルギーを発生させるための「ミトコンドリア」があります。
精子のエンジン部分のようなものです。

尾っぽの部分は、これをフリフリ振動させることによって、前へ前へと進ませていく役割があります。


3、射精までのルート

精巣の精細管で作られた精子は、精巣の上部と背面にある精巣上体(副睾丸)に集められます。

次に、精子たちは「精管」という約40cmほどの管の中をぐんぐん進んでいきます。
その後、精管膨大部まで来ると、まず「精嚢の分泌液」と「精子」が混ざりあい、これがさらに「前立腺の分泌液」とも混ざりあい、ようやく「精液」が出来上がります。

そして、射精の直前に精子が集まり、膀胱の方へ逆流しないように、膀胱側の括約筋が収縮して、尿道側の括約筋が緩んで、尿道を通って精液が射出します。これが射精です。


妊娠までのプロセス(排卵~受精~着床まで)

(1)卵巣から1個の卵子がポーン!(排卵)

女の赤ちゃんは、まだお母さんのお腹の中にいる時から、その卵巣の中に一生分の「原始卵胞」を貯えています。

必要な時期までそれら原始卵胞は眠っていますが、思春期になると眠りから覚め、その中からいくつかが成長し始めます。

そしてついに1個が成熟した主席卵胞となり、ホルモンの合図により、卵胞の膜を破って卵巣から卵子がポーンと飛び出します。


(2)卵管膨大部が卵子と精子の出会いの場

卵巣から飛び出た卵子は、卵管の先端部分にある「卵管采」というイソギンチャクのような入口でスポンとキャッチされ、卵管の中へと吸い込まれて行きます。

そして、ちょっと先にある「卵管膨大部」という卵管の中の少し広い所で、精子たちがやってくるのをじっと待つか、あるいは、精子の到着が先だった場合は、辿り着いた精子は3日~5日生きられるので、精子たちがこの場所で卵子が来るのを待つことになります。

いずれにしても、ここが卵子と精子の出会いの場所となります。



(3)たくさんの精子たちが卵子を目指して出発~!(射精)

精巣の中にある精細管で毎日作られる精子は、精管を通って、やがて、精嚢や前立腺の分泌物と混ざり合い、精液となります。

そして、射精によって膣の中に飛び込んだ精子たちは、いっせいにダッシュで卵子を目指して進みます。
この時の精子の数は1億個くらいと言われていますが、卵子と結ばれる精子はたった1個だけなのですから、これはもの凄い競争です。


精子たちは、まず、「子宮頚部」を通過します。
ここでは、頸管粘液が精子たちを通過しやすくしてくれています。

この頸管粘液の中を頑張って泳いで前進していきます。
しかし、中にはうまく前進できない精子や、ここで力尽きてしまう精子もいます。

無事に子宮頸管を通り抜けた精子たちは、さらに子宮の奥へと泳いで行きます。


(4)どっちの卵管に進むかが運命の分かれ道

精子たちが子宮内膜上を頑張って奥まで進んでいくと、左右二つに分かれている卵管の所にまでやってきます。

卵巣は二つあり、1ヶ月に1個、どちらか片方の卵巣からしか排卵しません。
どちらから排卵するかは、ひと月ごとに交互にとは必ずしも決まっていないようです。

なので、精子たちはここで左右どっちの卵管に進むかによって、卵子に出会えるかどうかが決まります。
精子の気持ちになるとドキドキですね。あ~~、どうか卵子に出会えますように!

会えることを願って、精子たちは卵管膨大部までさらに進んで行きます。

(5)ついに卵子との出会い(受精)、そして子宮内膜まで移動してスポン!(着床)

卵管膨大部まで頑張って辿り着けた精子は、この時点で100個~1000個くらいになっています。
そしてようやく愛しの卵子とついに出会えたのです!


すると、集まった精子は、我も我もと、たった一つの卵子をワ~~ッと取り囲み、卵子に近づくことのできた精子たちは次々とその頭から酵素を出し、総力戦で卵子の外側にある透明帯を少しずつ溶かしていきます。
すると徐々に、その透明体が薄くなっていき、競争に勝てた元気な、たった一個の精子だけが、透明体を破ってスッと頭を突っ込み、中に入ることができます。

これが「受精の瞬間」です。


これでもう、他の精子はどんなに頑張っても、卵子の殻は硬くなり、絶対に中に入ることはできません。
実に神秘的ですよね~。

競争に勝てず、卵子の中に入れなかった多くの精子たちは、消えていきます。
そして、受精卵は細胞分裂を始めます。分裂を繰り返しながら卵管を移動していき、子宮へ向かいます。


受精卵は自分の力でコロコロとは動けません。卵管の上皮にある繊毛というものの動きによって運ばれていくのです。
そして4日くらい経つと桑実胚というのになり、5~6日経つと胚盤胞というのになります。
さらにそのころ孵化(ハッチング)します。孵化というのは、受精卵の周りにあった透明体がなくなることです。


その頃には、黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによって子宮内膜は厚みを増し、フカフカのベッドのようになっています。受精から一週間くらいで子宮まで辿り着いた受精卵(胚盤胞)は、そのフカフカのベッドにおさまります。これが「着床」ですね。そしてそのまま落ちついてくれれば「妊娠!」ということです。やった~♪
 

不妊の原因


【女性側の原因】

●卵子が成長しない

卵胞期に卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が悪いと卵子が成長しにくく、普通は月経周期の2週間頃には20mmくらいに成長しているはずの卵胞が、ずっと小さいままで成長できずにいることがあります。

●卵子の質が良くない

卵巣内で成長していく卵子は、卵巣内に活性酸素が多いと、その酸化ストレスによって傷つけられ、質が低下します。卵子の質が良くないと、せっかく排卵しても受精そのものが成立しなかったり、たとえ受精したとしてもその後の細胞分裂がうまくいかずに成長が途中で止まってしまうこともあります。

●卵子の老化

女性は生まれた時にすでに体内に一生分の卵子を持っていますから、30歳の方の卵子年齢は同じく30歳ですし、40歳の方の卵子年齢は40歳ということになります。

卵子年齢が上がれば上がるほど卵子の数そのものも減ってきますし、卵子に傷があったり、染色体の異常などのリスクが上がってきます。


●排卵しない

卵胞が大きく成長してくると、中の卵子がポーンと卵胞の殻を破って飛び出すようになっていますが、ホルモンのバランスが崩れていると、その時期になっても排卵せずに卵巣の中に残ってしまうことがあります。

●内膜が薄い

子宮内膜は、受精卵が着床して育っていくお布団のようなものですから、一定程度の厚みがあって柔らかくてフカフカした状態が理想的です。内膜が薄いということはお布団が硬くて薄い状態ですから、受精卵にとって居心地があまり良くありません。

●卵管が閉塞しているか、または、狭くなっている

卵管は精子や卵子の通り道であり、また、受精が成立した場合は、受精卵が子宮までやってくる通り道でもあります。
ですから、この大事な通り道が塞がっていたり狭くなっていると妊娠できないか、妊娠しにくい状態です。


狭くなっている「狭窄」の場合は、子宮卵管造影検査をしたときに、ついでにこれが治療にもなり、狭窄が治る場合もあります。完全に塞がっている「閉塞」の場合は、卵管開通のための手術をするか、体外受精の方法で受精卵を直接子宮に移植する方法を選ぶことになります。


●卵管水腫

卵管の途中に水が溜まってしまうことがあり、これを「卵管水腫」と言います。
卵管内では粘液分泌細胞から卵管液が分泌されていますが、これが卵管の途中で溜まってしまい卵管が腫れてしまう状態です。

卵管水腫があると、体外受精の場合でも成功率が下がると言われています。
それは、溜まった卵管液が子宮に流れてきて、移植しても、折角の受精卵を流してしまうという可能性があるからです。
腹腔鏡手術によって卵管切除をしてから移植をすることもあります。


●AMHが低い

AMHは「アンチミューラリアンホルモン」または「抗ミューラー管ホルモン」の略称で、卵巣の中にどのくらいの卵が残っているかの指標となる数値です。

このホルモンは原始卵胞からの発育過程にあるまだ未熟な「前胞状卵胞」から分泌されるホルモンなので、この数値が高ければ卵巣の中に発育卵胞がたくさん残っているという判断になりますし、この数値が低ければ発育卵胞が少ないと推測されます。

AMH が極端に低い場合は、妊活を優先したライフスタイルに変えていくなどした方が良いですね。


●黄体ホルモンの分泌が悪い

排卵時期ころから分泌が増えてくるのが黄体ホルモンです。この分泌が悪い状態を「黄体機能不全」と言います。

この黄体ホルモンは、排卵後、受精卵が子宮内膜に着床しやすくするために子宮内膜を厚くしていく作用があります。
さらに、妊娠を維持していくために必要なホルモンです。ですから、この黄体ホルモンの分泌が悪いと、着床しにくい、つまり妊娠しにくいということになります。


 
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