発酵食品について
発酵食品は、昔から毎日の食生活の中でとても身近に食べられているものですね。
発酵食品には人の健康にとって有益ないろんな種類の菌が含まれており、これらを食べることで腸内環境が良くなり健康に役立ちます。
このような食品は「プロバイオティクス」と呼ばれています。
次に、発酵とは何か、発酵に関する微生物にはどんなものがあるかをお伝えしていきますね。
【発酵と腐敗の違い】
「発酵」とは、人間にとって有益な微生物によって食品中のたんぱく質や糖が細かく分解され、その結果、美味しくなったり、香りがよくなったり、身体にとって有益な栄養成分が増えたりすることです。
「腐敗」とは、人間にとって有害な微生物によって食品が同じように分解され、その結果、品質が損なわれ、食べられないし、身体にとって有害な物質に変化することです。
つまり、メカニズムは同じでも、人間側から見て有益なありがたい結果となるのが「発酵」で、嬉しくない有害な結果になるのが「腐敗」ということになります。
【発酵に関わる微生物】
微生物は自然界に存在する小さな生き物で数多くの種類があります。
その中でも特に身近な発酵食品に関わっている微生物をいくつかあげてみましょう。
◆乳酸菌
これには「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」があります。
「動物性乳酸菌」は動物の乳に生息しており、「植物性乳酸菌」は植物の葉っぱに生息しています。
ブドウ糖や乳糖を分解して乳酸を作ります。
乳製品のヨーグルトやチーズなどを作っている乳酸菌は有名ですね。
また、乳酸菌は日本の伝統的な食べものである糠漬けなどのお漬物や、味噌、醤油などが作られるときにも関わっています。
◆酵母菌
空気中や野菜などに生息しており、食品中のブドウ糖を分解して、アルコールと二酸化炭素を作ります。その働きを利用して、日本酒、ワイン、ビールなど、アルコールの製造に必要なのが、この酵母菌です。また、味噌や醤油を作る際にも酵母菌は必要です。
パンを作るときのイースト菌もこの酵母菌の仲間です。
このイースト菌によってパン生地が発酵し、ふっくらと膨らんだ美味しいパンができるのです。
◆麹菌
これはカビの一種で、もともと稲の中に生息している菌です。
そして、蒸した穀物に麹菌が繁殖して発酵したものが、いわゆる「麹」です。
この「麹」を使って、日本酒、焼酎、醤油、味噌、みりん、甘酒、米酢などが作られます。
◆納豆菌
言わずと知れた納豆を作るときに必要なのが、この納豆菌です。
これはもともと稲わらに生息していました。
大豆を煮て、納豆菌を加えるとネバネバの糸引き納豆ができます。
初めて食べた人は勇気がありましたね。(笑)
納豆菌は腸の中で有害な菌の繁殖を防ぎます。
また、納豆には血栓を溶かす酵素や血圧降下作用を持つ酵素も含まれていますから、健康のためにとても良い日本の伝統的発酵食品の一つですね。
◆酢酸菌
お酢ができる時に必要な菌です。
この菌の作用でアルコールをお酢に変えることができるのです。
お米を蒸して、そこに麹を入れてアルコール発酵させて、さらにこの酢酸菌を入れて酢酸発酵させるとお酢ができます。
お酢も昔から日本の食事には欠かせないものですね。米酢やリンゴ酢などいろいろあります。
お寿司に使われたり、酢の物として、また最近は女性に人気の飲むお酢として、フルーティーなものまで売られています。
【発酵食品の素晴らしい点】
発酵によって、次のような嬉しい変化が現れます。
●食べ物の旨味成分が増すこと。
●食品の保存がきくようになること。
●食品が消化吸収しやすい状態に変化すること。
●発酵食品を食べると、腸に善玉菌が増えて腸内環境がよくなること。
発酵食品と腸内環境